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Channel: 失われたメディア-8cmCDシングルの世界-
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「どうなっちゃうンだろ」 ZAZA 1996年

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笹峰愛がZAZA名義でリリースしたシングル。

ZAZA=笹峰愛+他25名という記載を目にしたが、その25名の正体は分からず。実質笹峰愛ソロでいいだろ。

1994年にシングル「ひとりぼっちのBirthday」でデビューした笹峰さん。1998年までの4年間にこのZAZAを含め6枚の8㎝シングルをリリースしたのにアルバムは存在しない。そう、この人もピュア8㎝シンガー。シングル6枚でアルバムなしは鈴木ユカリと同記録。


①どうなっちゃうンだろテレビ東京系「藤子・F・不二雄アニメ モジャ公」エンディングテーマ
作詞:高井美甫、作曲・編曲:森岡賢
今年6月急逝したSOFT BALLETの森岡賢作品。大げさなイントロから、ソフト・バレエと聞いてイメージされるハイパーなダンスビートへなだれ込む。ZAZAは無機質に歌うキャラ。コーラスとの掛け合いのサビもクールにきめ、抑えた高揚感が全体を支配する。森岡賢が好きにやってる雰囲気が楽しい。モジャ公のイメージに合うのかは大いに疑問だが、90年代アニメは(藤子・F・不二雄アニメといえども)主題歌は内容と無関係でOKという流れだった。どうでもいいけど「ン」だけカタカナ表記にすると小池一夫っぽいな。

②どうなっちゃうンだろ (Remix)
ほとんど①とは関連性を見いだせないリミックス。ヴォーカルは登場しない。リミキサークレジットはないので、これは森岡賢やりたい放題と考えてよいのか。

③①のカラオケ


定価930円、中古で300円。
化粧濃い目、強めのライティングでアイドル笹峰愛とは別人格を狙ったビジュアル。

「吐息のオペラ」 face featuing vocal / Rie Nakahara 1997年

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中原理恵をフィーチャーしたシングル。Produced by 森岡賢

face=森岡賢+中原理恵ということでいいのかな?

①吐息のオペラ
作詞:森雪之丞、作曲:OGAWA、編曲:森岡賢
1978年松本・筒美コンビによる「東京ららばい」でデビュー。デビュー曲が最大のヒットではあったが、その後もコンスタントに音楽活動を続けた。大瀧詠一作「風が吹いたら恋もうけ」(1982)などコミカルサイドもヒットには結びつかず、かしぶち哲郎作「私小説」(1985)を最後に音楽活動は休止状態に。シンガーとしてはじつに12年の沈黙を破って発表されたのがこのシングル。攻撃的な打ち込みビートにアダルトムードの理恵さんのヴォーカル。アレンジは90年代なのに漂う昭和感は理恵さんの声のせいか、歌謡曲的メロディのせいか。

②嵐 (unplugged piano mix)
作詞:西尾佐栄子、作曲:OGAWA、編曲:Little Nino Bang Productions
ジャジーでラウンジーなピアノをバックに、せつなく声をふりしぼる理恵さん。こちらのほうが昭和歌謡声の魅力が活きている。リミックスぽい表記だが、他のヴァージョンが存在するのか不明。

③①のカラオケ

定価1020円、中古で100円。
写真は加工されて分かりづらいし、名前も小さくローマ字表記だけなので「中原理恵」の知名度に頼りたくなかったのかな。結局このプロジェクトはシングル1枚で終了し、以降シンガー中原理恵は休業。すでに芸能界を引退しているので、最後の作品になった。

「エゴ・ダンス」 ソフト バレエ 1991年

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ソフト バレエ SOFT BALLET are; 遠藤遼一、藤井麻輝、森岡賢

4thと5thシングル。

4th「エゴ・ダンス」(1991)

①EGO DANCE
作詞:遠藤遼一、作曲:森岡賢、編曲:ソフト バレエ
地の底から湧き上がるようなビート、遠藤遼一の怒鳴り系ヴォーカルは喉痛めそう。世紀末のデカダンなイメージを振りまきながら、なんだか怒っているのはサウンドから歌唱からビシビシ感じる。

②BLOOD
作詞:遠藤遼一、作曲:藤井麻輝、編曲:ソフト バレエ
こっちはゲームミュージックのような軽さと明るさが感じられるアレンジ。メロディはどちらかというとポップ寄り。遠藤さんも朗々と歌っていて平和なムード。意味のよく分からない歌詞はやっぱり耽美派。

③NECRON
作曲クレジットなしのインスト。サスペンスものの劇伴のような緊迫感のあるサウンドに、外国人女性の色気のある笑い声が入る。

定価900円、中古で105円。
ダダイズム的な三面分割ジャケ。


5th「ファイナル -7inch Mix」(1991)

①FINAL -7inch Mix-
作詞:遠藤遼一、作曲:森岡賢、編曲:ソフト バレエ
アッパーなダンスサウンドは普通すぎる印象。ひらひら舞うように入ってくる弦は二胡?サビで軽く怒鳴るけど前作ほど激しくないので聴きやすい。91年だけどアナログ7インチのリリースもあったんだろうね、タイトルからして。

②VIRTUAL WAR -Dub version-
作詞:遠藤遼一、作曲:藤井麻輝、編曲:ソフト バレエ
金属的なビートに、歌というよりシュプレヒコールが乗る。大音量で聴けばトランス状態になれちゃいそうな6分超のトラック。

定価900円、中古で180円。
赤目の石膏像。孤高感出てる。

「片道通行をリバース」 Drink 1993年

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麻宮騎亜作の漫画「コンパイラ」のイメージソング8㎝。

10年前に紹介した「Unseen Love」の翌年にリリースされたCompilerシリーズ。

Drink are; 水谷優子、林原めぐみ

メジャー声優ふたりのユニット。曲はムーンライダーズのドラムの人とキーボードの人。


①片道通行をリバース
作詞:松葉美保、作曲:かしぶち哲郎、編曲:岡田徹
two of usのふたりが作った疑似アイドルポップス。岡田有希子、安田成美、設楽りさ子などなどアイドル提供曲も多いかしぶちさん。アンニュイでちょっとWINK系なAメロ、中間部「私だけの想い 片道通行ね」の部分は思いっきりかしぶち印で嬉しくなる。急に能天気なサビもかしぶちさんが歌っている様が容易に想像できる。演奏はギターと間奏のサックス以外はほぼ岡田徹ひとりで作っていると思われる。それにしても林原めぐみの声は毎回違いすぎて正体がつかめない。

②フルヴォリュームで囁いて
作詞:松葉美保、作曲・編曲:岡田徹
岡田徹らしいキャッチーなメロ満載。こちらは岡田徹本人の声より鈴木慶一ヴォーカルへの脳内変換が容易。「ビューティーコンテスト」あたりの歌い方で。ギターとサックスが入るアレンジは①と共通。

③④カラオケ

定価1000円、中古で108円。
これはレアかも?と思っていたらAmazon\1だった。麻宮騎亜イラストジャケ。裏は声優ふたりがライブで歌っている写真。


関連Compiler
Unseen Love」高橋幸宏作曲。アレンジが岡田徹+かしぶち哲郎。カップリングは白井良明作曲。

「甘い運命」 UA 1997年、DOUBLE 1998年

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久々のオリジナル&カヴァー。

UAの7thシングル。

①甘い運命 カネボウ「テスティモⅡ」CMソング
作詞:UA、作曲・編曲:朝本浩文
UA最大のヒットらしい。打ち込みビートにスティールギターがふわふわした印象のアレンジ。口紅のCMソングとしてあまりにも優秀なサビ「重ね合う唇に愛がこぼれる」が多幸感にあふれすぎている。「甘い運命に溺れましょう」だもんな。CMタレントは鶴田真由だった。

②真夜中のギター
作詞:吉岡治、作曲:河村利夫、編曲:森俊二
オリジナルは千賀かほる、1969年。オリジナルは昭和歌謡らしい粘りとビブラートが時代を感じさせる歌唱だったが、UAは低めのキーで落ち着いた歌声を聴かせる。ドラムレスアレンジ&ゆったりテンポで子守歌のよう。

③①のカラオケ。

定価1000円、レンタル落ち10円。
UAと大地。どっしりした印象の逆光後ろ姿ジャケ。


DOUBLEのデビューシングル。

①For me
作詞:SACHIKO、作曲:筒美京平、編曲:福富幸宏
姉SACHIKOがリード。京平アーバンソウル路線。のちにTAKAKOが「これは自分たちの求めている曲ではなかった」と語ったらしいが、確かにその後のアゲ展開からするとちょっと大人しすぎるか。SACHIKOは細かなビブラートに魅力のある、真面目っぽいエロ声。

②甘い運命
作詞:UA、訳詞:SACHIKO、作曲:朝本浩文、編曲:Steve Harvey
妹TAKAKOがリード。タイトルは日本語のままで、歌詞を英語化してカヴァー。英語の発音いいな。そのへんをアピールする目的のカップリングかも。オリジナルよりテンポ速めで、サビも軽々と歌っている。比べるとUAの声の押し出しの強さが際立つ。

③①のカラオケ

定価1020円、中古で100円。
姉妹デュオアップ。

「心にKISSして」 関本彩子 1995年

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ピュア8㎝シンガー、モーターボートクイーン関本彩子のセカンドにしてラストシングル。

①心にKISSして モーターボートレースCFソング
作詞:小山薫堂、作曲:白井良明、編曲:岩崎琢
薄いサウンドをバックに一節歌う導入のあとリズムが入ってくる。良明さんらしいガシガシ盛り上げるサビで、親衛隊コールが聞こえてきそうなアイドル系ポップス。実際には競艇場でおじさんたちが新聞片手にウロウロしている中で歌わされていたんだろうな…モーターボート"アイドル"ではなく、お姉さんムードの"クイーン"なのは客層を意識してか。歌はちょっと上手な素人レベル。

②星屑のイノセンス
作詞:麻生圭子、作曲:小室哲哉、編曲:上野圭市
オリジナルは伊藤かずえ、1988年。2月16日にアナログ、2月21日に8㎝CDがリリースされた。女優としてのイメージが強い伊藤かずえは意外と14枚のシングル&8枚のアルバムを残している。そんな彼女の最後のシングルをカップリングでカヴァー。小室提供曲としては初期作品と言えるが、そりゃもうどっぷりとコムロワールド。クレジット見なくても10人中7人は作曲者を当てられるレベル(言ってしまえば「My Revolution」バリエーション)。コムロ全盛期の1995年に改めて世に問うてみた知られざる小室作品。渋いといえば渋い選曲なのかも。

③①のカラオケ

定価1000円、中古で105円。
シャープなイメージのショートカットビューティー。ごらんのとおり2枚あったので表と裏を並べた。

「いいじゃないの幸せならば」 夏木マリ 1998年

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MARI/JUNのスプリットシングル。

信藤三雄監督映画「代官山物語」のテーマ曲2曲をカップリング。プロデュースは小西康陽。


①いいじゃないの幸せならば 夏木マリ 代官山物語オープニングテーマ
作詞:岩谷時子、作曲:いずみたく、編曲:小西康陽
オリジナルは佐良直美、1969年。歌詞は浮気な女の開き直りともとれる内容。サビのキメがタイトルになっている。「いいじゃないの 今が良けりゃ」「いいじゃないの 楽しければ」のバリエーションあり。いすみたくの曲が素晴らしいのはもちろんだけど、こんな刹那的な歌詞でレコ大の大賞受賞して紅白にも出てるって昭和歌謡の懐の深さを感じる。今だと下手すると不謹慎!→自粛の流れになりそう。このカヴァーはウッドベースがブイブイ主張してくるグルーヴィーなアレンジ。夏木マリは淡々と突き放すような歌唱でこの名曲に挑む。さすがに佐良直美の迫力には敵わないけど、クールの裏の孤独を感じさせる悪女像を描き出している。

②ダウンタウンブギー 佐々木潤 代官山物語エンディングテーマ
作詞:佐々木潤、作曲:筒美京平、編曲:窪田晴男
COSA NOSTRAのDJ/ギタリスト、佐々木潤のヴォーカルをフィーチャー。ちょっと鼻詰まり気味の低音が訥々と歌う筒美京平書き下ろし作品。スタンダード然としたメロディに、昭和歌謡オマージュが散りばめられた歌詞。イントロのトランペットとか、サビでストリングスがゴージャスに盛り上げるアレンジも昭和チックだし。佐々木潤の歌唱は普通に聴けば下手にカテゴライズされる味わい系。本職ヴォーカリストではないミュージシャンが歌う独特の魅力あり。ソギー・チェリオスにおける鈴木惣一朗の歌心をちょっと思い出す。

③④カラオケ

定価1000円、中古で350円。
もちろん信藤三雄デザイン。

裏は佐々木潤。


「JOY」 石井明美 1987年、近藤千裕 1998年

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筒美京平作オリジナル&カヴァー。

「JOY」のオリジナルシングルは1987年なので8㎝時代の前。

1988年の5曲入りコンパクトベスト「Dance Street」に収録された。

①CHA-CHA-CHA
作詞:G. BOIDO、日本語詞:今野雄二、作曲:B. REITON/B. ROSELLINI/F. BALDONI/F. REITON、編曲:戸塚修
石井明美のデビューシングルにして最大のヒット。オリジナルはフィンツィ・コンティーニ(Finzy Kontini)、1985年。車のブレーキ音から入るイントロもオリジナルをなぞっている。チャラいオリジナルをチャラい日本語に移した今野雄二の職人芸は狙いどおりなんだろうけどかなり酷い。「A Virgin気分 CHA CHA」とか凄い。全体に救いようのない軽薄さが支配する曲に、石井明美の生真面目で陰のある声は少々居心地悪そう。「街で噂の 辛くち セクシー・ギャル」を少し離れて見ているようなイメージ。今となってはバブルを彩ったテーマソングとして懐かしく聴ける。

②響きはtu tu
作詞:阿木燿子、作曲:筒美京平、編曲:山川恵津子
2ndシングル。ここから5thまでの4枚、筒美京平作のシングルが続いた。その4枚すべて作詞家が違うのはちょっと珍しいかも。2枚目なので定石どおりヒットしたデビュー作路線を踏襲。チャラ系ダンスサウンドなのだが、筒美-山川ラインの仕事でチャチャチャより品がある仕上がりに。

③Celebration
作詞:松本一起、作曲:筒美京平、編曲:大谷和夫
哀愁の歌謡曲路線。もとはアルバム『Joy』(1987)収録曲で、1993年の11thシングル「あなたらしくいて」のカップリング曲にもなった。サビはカッティング・クルー「愛に抱かれた夜 (I just) died in your arms」(1986)そっくり。

③O LA LA
作詞:N. HACKETT、日本語詞:森浩美、作曲:F. BALDONI/B. ROSELLINI、編曲:戸塚修
これもフィンツィ・コンティーニの日本語カヴァー。デビューアルバム『Mona Lisa』(1986)1曲目に収録されたカリプソナンバー。チャチャチャよりいい。

④JOY
作詞:ちあき哲也、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
4thシングル。マイナーイエイエの3rdシングルを経て、満を持しての名曲キタ!強がって明るく振舞う別れのシーン。「みんな夢でいいの いいの 逢えただけでいいの いいの」のサビの切なさが印象的だが、A~Bメロの明る哀しい展開がさすが筒美先生!と唸る傑作。ダメ男に貢いできたんだろうなと想像させる石井明美の薄幸声が涙を誘う。

定価1500円、中古で550円。
黒でまとめたシックなジャケ。


1998年に近藤千裕がカヴァー。筒美京平作品カヴァーのカップリング。

近藤千裕は1993~1998年に5枚のシングルをリリースしたおそらくピュア8㎝シンガーで、これがラストシングル。

①お別れしましょう
作詞:なかにし礼、作曲:筒美京平、編曲:信田かずお
オリジナルは朝丘雪路、1972年。夜の歓楽街が似合う酒場音楽。お別れする理由としてサビの最後で歌われる「抱かれて心が動くのは みじめでイヤなの」ってアダルトだな。近藤千裕は粘りつくようなレトロ調の歌唱でこの昭和歌謡を歌いきる。

②JOY
作詞:ちあき哲也、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修、ストリングスアレンジ:信田かずお
オリジナルアレンジャー戸塚修がカヴァーも担当し、ほぼ同じアレンジ。もしかして同じオケ?ドラムのエコーは違うけどリミックスレベルの違い。だからというわけではないだろうが近藤さんの歌唱も石井明美そっくり。①とは別人のよう。結果としてわざわざカヴァーした必然性が見つからないほどのシンクロ率。ネタとしてモノマネやってたんじゃないか。

定価1020円、中古で298円。
夜の女風メイクは昭和歌謡のイメージ。

「ハッピー・エバー・アフター」 ジュリア・フォーダム 1988年、沢田知可子 1989年

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"HAPPY EVER AFTER" JULIA FORDHAM 1988

洋楽とその日本語カヴァー。

左、英国の女性SSWジュリア・フォーダムの3曲入り8㎝CD「ハッピー・エバー・アフター」。

①時のゆくえ Where Dose The Time Go?
(JULIA FORDHAM)
John O'Kaneをゲストヴォーカルに迎え、こってり盛り上げるバラード。デビューアルバム『Julia Fordham』(1988)収録曲で、1989年にシングルカットもされている。この日本編集ミニアルバム?が出た1988年11月時点ではまだシングル曲ではなかった。シャリシャリしたレイト80'sらしい音像はヒュー・パジャムによるミックス。

②ハッピー・エバー・アフター Happy Ever After
(JULIA FORDHAM)
ゆったりしたビートに乗せて抑えた調子で歌うジュリア・フォーダム。TVドラマ「ハートに火をつけて!」で使用され日本でもヒット。ドラマは見ていないけどアンニュイにたそがれる浅野ゆう子のBGMとして活躍したのだろう。優しい曲調に慈悲深げな声、おとぎ話の〆の決まり文句(「幸せに暮らしましたとさ」)を引用したタイトル、「ハッピー」の語感からなんとなくほのぼの幸せムードを感じてしまうが、じつは南アのアパルトヘイトに対する諦めまじりの異議申し立てといった内容。歌詞を見ながら聴けば深い絶望感がジュリアを支配していることが分かる。印象的なアフリカ系女性コーラス「Um by yay Est ce la South Africa」が挿入されるし、言われてみればリズムもアフリカっぽい。
ピーター・ガブリエル「Biko」(1980)、Artists United Against Apartheid「サン・シティ」(1985)に連なる反アパルトヘイトソング。この時点ではまだネルソン・マンデラは獄中だったし、アパルトヘイト撤廃は3年後の話。

③マイ・ミステイク My Mistake
(JULIA FORDHAM)
「ハッピー・エバー・アフター」12インチシングルに収められたのアルバム未収録曲。B面らしい3分足らずの小品。

定価1123円、中古で52円。
ジャケ下半分にはアーティスト名・タイトルよりもでかくヴァージンレコードのロゴマーク。


右、沢田知可子の6thシングル。

①HAPPY EVER AFTER
日本語詞:沢ちひろ、編曲:岩本正樹
ポリティカルメッセージ一切なしのふんわりした日本語詞。上記のような日本でのイメージ(ほぼ誤解)にそって確信犯的に書かれたと思われる。2番冒頭、オリジナルの「So don't ask me why」を「そ、Doorのそば」と微妙に頭を踏んできたりもする。ジュリアが怒りを抑えつつクールに歌いきった名曲を、知可子はウェットに歌い上げてかなりの台無し感。そりゃ内容が悲恋モノになってるのだから仕方ないか。

②恋人と呼ばせて~Let me call your sweet heart~
作詞:門谷憲二、作曲:井上大輔、編曲:笹路正徳
1987年のデビューシングル「恋人と呼ばせて」を再録。新録とは書いてないので同じヴァージョンなのだろう。またもや歌い上げ系泣きのバラード。それが知可子の持ち味だから。
ところでこのサブタイトル~Let me call your sweet heart~、内容に沿った「(あなたを)恋人と呼ばせて」の意味だったらyourじゃなくてyouだよね?これじゃ「あなたの恋人に私から連絡させていただくけど、よろしくて?」になって修羅場じゃん…ちょっとググってみたら「Let Me Call You Sweetheart」という曲をビング・クロスビーが歌っていた。

定価937円、中古で108円。
セピアカラーの写真に丸メガネ。なんかぼんやりしたデザインだな。

「DON'T THINK TWICE, IT'S ALRIGHT」 友部正人 1992年

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友部正人、たぶん2枚目の8㎝CD。

3曲入りで、すべて洋楽の日本語カヴァー。


①LOVE ME TENDER
作詞・作曲:Elvis Presley & Vera Matson、訳詞:友部正人
オリジナルはエルヴィス・プレスリー、1956年。ワンコーラスを英語で、続いて日本語で歌う。演奏は友部のギターと駒沢裕城のペダルスティールのみ。漂うペダルスティールが、非現実感を醸し出す。幸せな内容なのに、既に失われた恋愛を歌っているような。最後のフレーズ「ぼくの夢の中に君がいる ぼくはいつも君のそばにいる」やっぱり現実の「君」は近くにいないのか。アルバム『遠い国の日時計』(1992)にボーナストラックとして収録。
1988年にTHE RC SUCCESSIONによる日本語カヴァーあり。

②DON'T THINK TWICE, IT'S ALRIGHT
作詞・作曲:Bob Dylan、訳詞:友部正人
オリジナルはボブ・ディラン、1963年。演奏は友部のギター&ハーモニカに、仲井戸麗市のギター&マンドリン。「今さら考え込んでみたって もう手遅れよ」と切り込んでくる友部正人の声には①とは別次元の切迫感がある。もともとの声質の近さもあるけど、歌唱法もディラン寄りで、ディランが日本語で歌ったらこんな感じだろうなと思わせる説得力がある。「あなたのおかげで時間をむだにしたわ でも、もうあんまりくよくよしないでね」女性視点で歌われる別れの風景。「時間をむだにしたわ」というわりに、慈愛と未練に満ちた女性像を浮かび上がらせる。チャボのマンドリンも最高だし、文句なしの名カヴァー。えっこの名演がアルバム未収録!?

③JERSEY GIRL
作詞・作曲:Tom Waits、訳詞:友部正人
オリジナルはトム・ウェイツ、1980年。ブルース・スプリングスティーンのカヴァー(1984)も有名。シャラララコーラスがぐっとくる名曲を友部正人が淡々と歌うとしゃがれ声ふたりとは別の切なさがある。演奏は友部(ギター)、リクオ(アコーディオン)、滝本晃司(ベース)。同じく1992年に友部正人&たま名義でアルバム『けらいのひとりもいない王様』が作られた。その流れで滝本さんがここに参加したのだろう。長らく8㎝でしか聴けないトラックだったが、昨年リリースされた3枚組コンピ『ミディの時代』に収録された。

定価900円、中古で105円。
3曲のタイトルとアーティスト名を並べたシンプル文字ジャケ。金文字の中、5文字だけ赤。

裏ジャケ


「ローリンストーんっぽくすごしたい」 吉川美奈子 1995年

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吉川美奈子(きっかわみなこ)は、この名義ではシングル1枚しか音源をリリースしていないピュア8㎝SSW。

この名前で検索ずると熟女系AV女優さん(苗字の読みは「よしかわ」)がヒットするが、もちろん無関係。

字面は吉田美奈子と紛らわしいが、こちらも当然無関係。


①ローリンストーんっぽくすごしたい テレビ東京系「おまかせ!山田商会」エンディングテーマ
作詞・作曲:吉川美奈子、編曲:吉川美奈子・堀玄
高速ハウストラックに早口ウィスパー。サンバホイッスルが控えめに鳴っていたりするけど、全体の手触りは冷ややか。リル・ルイス「フレンチ・キッス」(1989)を参考にしているっぽいクールなエロサウンド。ドラムやシンセの音色など、1995年としては少しレトロな味わいだったかも。美奈子の半ラップ調ウィスパーは「愛してるみたいだって言ってみたばっかりだし」のように促音を多用しグルーヴを作っていく。虚無感漂う根無し草的生き方を体現した投げやりウィスパー。内容もディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」を意識しているのかもしれない。間奏のウィスパー語りは何やらエロいことを言っているが、喘ぎ声にはいかない。単調な繰り返しがグルーヴしていく作りは、ちょっと「カム・トゥゲザー」似。ビートルズのオリジナルよりはマイケルのカヴァーに近い雰囲気。
ところでタイトルの「ん」がひらがななのがとっても気になるわけだが、歌詞中でも「タめイき」「うソつキ」との表記あり。意識的にやっていることが分かり、なぜかほっとした。

②I feel for you
作詞・作曲:吉川美奈子、編曲:吉川美奈子・堀玄
こちらはミディアムスローの抒情系。メロディアスな部分は英語詞で、①より美奈子の声が幼く聴こえる。「ふとしたはずみで上海」のフレーズは陽水オマージュ?

③①のカラオケ

定価1000円、中古で105円。
目を閉じた美奈子。前髪がかゆい!

吉川美奈子としてはこの1枚で終わったけど、1998年からmisajoeyとして現在も活動中。

「マンダム 男の世界」 ザ・ブロンソンズ 1995年

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The Bronsons are; みうらじゅん+田口トモロヲ

ザ・ブロンソンズ唯一のシングル。アルバムも一枚存在する。

①マンダム 男の世界 フィーチャリング大塚周夫
作詞・作曲:Mat & Howard Cain、訳詞:ザ・ブロンソンズ、編曲:福田裕彦
オリジナルはJERRY WALLACE「Lovers Of The World」(邦題:マンダム~男の世界)、1970年。男性用化粧品「mandom」のTV-CMに当時大人気だったチャールズ・ブロンソンを起用。そのバックに流れていたのがこの曲。カントリー歌手ジェリー・ウォレスの日本ローカルシングルで、日本人しか知らない大ヒット曲なのだ。確かに中古屋の7インチコーナーでブロンソンジャケのシングル盤をよく見かける。
冒頭、大塚周夫の「う~ん マンダム」の声で勝負あり。実際のCMではブロンソン本人が顎をさすりながらつぶやくこのセリフは当時流行語になった。それをブロンソンの吹き替えといえばこの人、大塚周夫に言わせた。歌はみうらじゅん&田口トモロヲが勢いだけで熱唱する想像どおりの出来。「いい感じだぜ」「やるじゃないか」などとブロンソンキャラでちょいちょい突っ込みを入れてくる大塚周夫の声がよすぎて聞きほれる。間奏は大塚周夫語りソロ(ナレーションともいう)。「ワイフを愛しつくせ ファミリーを守るんだ ビジネスは選ぶなよ ルックスなんて気にするな それがブロンソンさ」最高!完全に大塚周夫が主役の作品。

②大脱走'95
作詞:Al Stillman、訳詞:ザ・ブロンソンズ、作曲:Elmer Bernstein、編曲:福田裕彦
ブロンソンの出演作で最もメジャー?少なくともテーマ曲の知名度では群を抜いている。1963年の映画「大脱走」のテーマ曲を日本語カヴァー。もともとの英語詞もたいがい酷い内容(浮気男の開き直り?)なのだがブロンソンズもなかなか酷い。「オレ 穴を掘る わき目もふらずに掘る しかしオレ 穴が好き 自由を求めて」映画の内容とちょいエロをミックス。90年代的ビートに乗せて歌われるマーチ曲は軽薄なサウンドだけど、最後に「それが男さ」と締めればブロンソンムード。
ゲストにスカパラ、ローリー、真心などを迎えて作られたブロンソンズ唯一のアルバム『スーパーマグナム』(1997)にはスチャダラパー参加の「大脱走(ブロンソンズ大陸mix)」が収められている。

これ以上ない選曲の日本語カヴァーによるブロンソン賛歌2曲。見事なコンセプトシングル!

③④カラオケ

定価1000円、中古で500円。
顎に手をあて、う~んって言ってるふたり。テンガロンハットと口髭、あおって鼻の穴を強調。

「欲望」 ホフディラン 1998年

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ホフディランの7thシングル。

①欲望
作詞・作曲:小宮山雄飛
そっけないギターのイントロからの静かな歌い出し。このバンドで「欲望」ときたらアレか?と思わせて、ディラン要素はとくになし。曲が進むにつれ、英国ロックの香り漂う重いストリングスが徐々に音圧を増していくアレンジ。オアシスぽいといえばノエルギャラガっているわけだが、正々堂々とやっているのであまり気にならない。歌詞では「道を迷って 迷っていたら」「今も気になって 気になっているよ」とメロディに合わせてこうなったのかもしれないが、意味的にはなくても通じる繰り返しが耳を惹く。ひとりの思考が行きつ戻りつする様を表しているように聴こえる。エンディングの「yeah 僕らを動かすものを oh すべてを欲しがる僕を」のリフレインはIt's All Too Much的なビートルズテイスト(ハリスン寄り)。ジョージ・マーティンの影が色濃い名作。

②カム・トゥゲザー (Extended)
作詞・作曲:渡辺慎
タイトルからしてビートリー。言葉遊び的アプローチの歌詞と、凝りまくっていながら力の抜けたアレンジ。どシリアスな①に対して、B面曲らしくバランスをとっている印象。アルバム『ホフディラン』(1998)に「カム・トゥゲザー~時計~その手をつないで」のメドレーとして収録されている曲の「カム・トゥゲザー」を取り出したヴァージョン。

③欲望 (Inst.)
だいたいカラオケなのだが、①より約1分長い。5分40秒(①と同じ尺)でカラオケが一旦終わって、無音10秒のあと本編とはあまり関係のないクールダウン的なギター中心のエンディングをつけた。奥田民生がパフィーのシングルのカラオケで同様のことを試みていたのを思い出す。

定価1020円、レンタル落ち100円。
中心にどーんと柱。照明かな。バックはきっと青空に浮かぶ雲なんだろうけど、モノクロで不穏なムード。

さらにコンパクトに~格子の向こう~前編

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さあ、音楽には何も関係ない話だよ。

音楽でも盤でもジャケットでもトレーでもない。

今回のテーマは「さらにコンパクトに」。そう、パキるとか、ミシン目から切り取るとか、折り畳むとかの説明の話。

8㎝CDに触れたことのある人ならご存知のとおり、CD盤を固定するプラスチックトレーの下半分は、その気になれば簡単に折れるように作られている。平成生まれの皆さんの中には、その理由が分からない人もいるとか。21世紀生まれになると、そもそも8㎝CDの存在すら知らないからこの疑問は生じない。

1988年2月に誕生した、ほぼ日本独自のスタイルと言ってよい短冊型8㎝CDシングル。その初期には「さらにコンパクトに」のコピーとともにその折り畳み方が図解された説明がジャケの一部に存在した。1988~1989年の短冊の大部分で確認できるが、1990年になるとその立場はかなり危うくなり、1991年にはほぼ姿を消した儚い存在。

今回は「格子の向こう編」としてプラトレー下半分の4x4の格子越しに見える説明文を扱う。細かすぎる違いを認めてもらえば10種揃ったので並べる。


1枚目「悲しみにさよなら」安全地帯 1985年作品、1988年の再発盤 KITTY RECORDS



左上「さらにコンパクトに」のコピーと完成形。下の説明文「ジャケットを下図のように組み立てて下さい。持ち運び、収納に便利です。」右上から時計回りに①「プラスチック・トレーを半分に折り切る」②「歌詞部分の中央部を内側に折りたたむ。」③表紙裏側の中央ミシン目または、スジ押し部分を内側に折り、さらに折りたたむ。」で、左上の完成形に戻る。
イラストのジャケットは、シンプルな線で描かれた女性の顔。


2枚目「人にやさしく」THE BLUE HEARTS 1988年 メルダック/日本クラウン



1枚目と同じ女性像のジャケなのに微妙に異なる(プラトレーの残る位置の違い)。左上のコマのコピーは全く同じ。1が右上なのは同じだが、時計回りではなく、2は左下。同じ3ステップでも内容は驚くほど違う。1「表紙の中央、ミシン目より、下半分を切り取る。」2「歌詞部分を内側に2ッ折りする。」3「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」最後に折るんかい!
1枚目との最大の違いはジャケ下半分を切り取って捨てることだろう。いや、捨てろとは書いてないが、切り取られたあとは捨てるか失くすかどちらかに決まっている。


3枚目「LOOK OF LOVE」高橋幸宏 1988年 東芝EMI



ジャケの女性?は1枚目に似ているが目が描かれていない。明らかに別のイラストなのだが、2、3コマは2枚目の2、3に酷似している。ジャケ下半分の「ZZ」の文字とか。文章も2枚目とだいたい一緒。1「中央のミシン目より、下半分を切り取る。」2「歌詞部分を内側に2ツ折りにする。」3「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」4「完成。」完成形が4コマ目として右下へ移動したのが特徴。


4枚目「今夜、私に」井上陽水 1988年 FOR LIFE RECORDS



1「表紙の中央、折り目より、下半分を切り取る。」2「歌詞部分を内側に2ッ折りする。」3「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」4「完成」
3のプラトレーの折り方が、ふたつの絵で分かりやすく表現されているのがポイント。


5枚目「I wanna be a lucky girl」慶田朱美 1989年 VAP




①「プラスティック・トレーを半分に折り切る」②「歌詞部分を内側に折り、表紙部分を内側に折ってくるむ。」③「爪を切りこみに入れる ➡ 完成。」完成図のジャケの女性はセミロング(目あり)。切り込みに入れるのが新しい。


以上、女性アイドルぽいジャケ絵の5パターンを紹介した。後編につづく。

さらにコンパクトに~格子の向こう~後編

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前回のつづき、後半5枚。

前回はすべてトレー下半分が折り切られた状態の5枚だった(どうでもいいけど「折り切る」ってあんまり聞かない。8㎝テクニカルタームか?)。今回の5枚はトレー下半分がついているものあり。さすがにこの記事のためにトレーを折り切る勇気が出なかったのと、「格子の向こう」とタイトルにつけた以上、格子越しの写真があってもいいと思ったので。


6枚目「目がすべて」斉藤さおり 1989年 PLATZ/日本コロムビア



「ジャケットを図のように組み立てて下さい。持ち運び、収納に便利です。」は前回の5パターンとほぼ同じなのだが、「さらにコンパクトに」のコピーがない!上部に爪があるせいで、スペースが下に押しつぶされている。
1.①「表紙部分を内側に2ッ折りにします。」2.②「プラスチック・トレーを半分に折り切ります。」3.③爪を残して下半分を内側に2ッ折りにします。」4.④「爪を切り込みに入れます。」5.完成
なぜかコマの左上に番号がふられているのに文章の頭にも番号がある(5コマ目だけコマの中に「完成」の文字)。初のですます調。
ジャケットの女性像は前回紹介の5枚よりもしっかり顔が描かれている。右手で髪をかきあげ、バックも黒なので主張が強い印象。


7枚目「元気ですか!?」富田靖子 1988年 日本コロムビア



6枚目とジャケの女性に共通点が多い(黒バック、右手で髪かきあげ)。おそらく同じイラストレーターが描いたと思われるが、同じ絵ではない。これも「さらにコンパクトに」なし。
①「表紙の中央、ミシン目より、下半分を切り取ります。」②「歌詞部分を内側に2つ折りにします。」③「プラスチック・トレーを半分に折り切ります。」④「完成」
6枚目とはジャケの切り取りや爪ありなしなど違う点が多く、同じ絵が使えなかった。


8枚目「ガラスの薔薇」野村宏伸 1989年 ビクター



初の白紙ジャケ。今までの7枚はすべて女性像が描かれていたのでかなり簡素な印象。下には「8センチCD用アダプターについて」「使用上のご注意」と情報満載で「パッケージの組み立て方」は上半分のスペースに圧縮。
図のジャケ面にA, Bとふられ、プラスチック・トレー、爪、切り込みが図示されている。
①プラスチック・トレーを折って、切り離す。②ジャケットをB→Aの順に折りこむ。③爪を切り込みに入れて完成。


9枚目「BAD BOY…」芳本美代子 1989年 テイチク



つづいて白紙ジャケ。今回唯一の「さらにコンパクトに」のコピー登場!
①「表面を内側に2ッ折りにする。」②「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」③「本体・トレーの付いている台紙を内側に折り曲げる。」④「差し込んで完成。」
最後の「差し込んで」は爪を差し入れ口に差す作業。


10枚目「夏少女」浅香唯 1985年作品、1988年の再発盤 ハミングバード/ビクター



ご覧のとおり今までの9枚とは上下が逆になっている。


この記事を書いている途中で同じパターンの見やすい盤(トレーが折り切られた)が見つかったのでそれを紹介。

BOY~If I'm 17」ビートたけし 1988年 ビクター



上下をひっくり返した。左側に「パッケージの名称」があるのが新しい。以下の説明文中の①②など〇内の数字はこの左の図上にふられている番号。
1.②を切り取る 2.④を内側に折り曲げる 3.⑤と⑥を2つに折る 4.⑤と⑥を切り取る 5.出来あがり
文章で読むとさっぱりわからないが、図で見てもかなり分かりにくい。個性を出そうとして失敗した感じ?説明としては最もダメなパターン。


他にもありそうだが、とりあえず格子の向こう編終了。

「ジャケットを下図のように組み立てて下さい。」 ポニーキャニオン編

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1988年限定?PONY CANYONの裏ジャケ下半分に例の説明文について。ポニキャンオリジナルなのかな。開かなくても見える説明は、ほかでは見ない。

代表で中島みゆき盤のアップ。



「さらにコンパクトに」のコピーはないパターン。
最上段は「ジャケットを下図のように組み立てて下さい。持ち運び、収納に便利です。」

①ウラ面の中央、ミシン目より、下半分を切り取る。
②表面の中央下半分を内側に2ッ折りする。
③プラスティック・トレーを半分に折り切る。
④完成。

ジャケットの女性像は「格子の向こう編」で紹介した安全地帯やTHE BLUE HEARTSの絵に似ている。が、鼻が描かれていないのが見分けポイント?よく見るとジャケの上部にポニキャン共通の帯状部分が描かれていたりする。

では、タイトル/アーティスト名を紹介。

10枚すべて1988年リリース。

MAY」 斉藤由貴 4月26日 (1986年作品の再発盤)
「ギザギザハートの子守唄」 チェッカーズ 5月21日 (1983年作品の再発盤)
「サンキュー」 明石家さんま 5月21日
ホット・スタッフ」 鳥越礼 5月21日
メリーアン」 アルフィー 6月21日(1983年作品の再発盤)

「BLUE WIND」 小高恵美 7月6日
「おまかせピタゴラス」 FAIRCHILD 7月21日
ロックンロール・ラブレター」 新田恵利 7月21日
かっこイイ ダーリン」 GO-BANG'S 10月21日
あした天気になれ」 中島みゆき 10月21日 (1981年作品の再発盤)

下半分は白地が最も多いけど、上のデザインに合わせて色付きのも結構あった。格子の向こう編と違い、切り取る部分には上記の説明しか印刷されていないので、コンパクトにしたらほぼ確実に廃棄される運命。


表ジャケも。




ポニキャン初期短冊を集中的に見ていて気付いたこと。



斉藤由貴の3枚。左から「卒業」「MAY」「終りの気配」。

この3枚のうち、説明文どおりに「ウラ面の中央、ミシン目より、下半分を切り取る」ことができるのは右の「終りの気配」のみ。これだけはミシン目があるが、他の2枚にはない。この写真でどこまで伝わるか分からないが、「MAY」には2重のスジ押しが確認できる。「卒業」はミシン目もスジ押しもない。
すべて4月29日リリースではあるが、まず間違いなく何回か版を重ねていたであろう人気商品。おそらくミシン目のある「終りの気配」が初期ヴァージョン。スジ押しのある「MAY」がすこし後の版。まだコンパクトにする文化が残っていた1989年あたりのヴァージョンだろう。そして何もない「卒業」は誰もパキったり折り畳んだりしなくなった1990年以降のヴァージョンと想像する。


ここで工藤静香登場。



左は1988年2月25日発売、うしろ髪ひかれ隊「ほらね春が来た」。この表ジャケにはミシン目がついている。
右は1989年5月3日発売、工藤静香「嵐の素顔」。ちょっと状態は悪いが、スジ押しが確認できる。

裏を見てみよう。



左「ほらね春が来た」の裏ジャケには例の説明文がない。
右にもない。スジ押しは裏にもある。

ではどこに?開いてみよう。



「ほらね春が来た」の盤の対面にはおなじみ「さらにコンパクトに」の説明が!
「嵐の素顔」には中にも説明文なし。盤の対面は歌詞。

まとめると、ポニキャンの説明文は最初期には内側にあったが、1988年2月から4月の間に裏ジャケ下半分に移動した。
1988年の10月まではその位置にあることが確認できた。
1989年5月の「嵐の素顔」ではジャケにスジ押しがある(コンパクトにすることはまだ推奨されている)が、説明文は消えていた。みんなもう説明しなくても分かってるよね?という流れ。

つづく。

「雪が降ってきた」 SMAP 1992年

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SMAPの6thシングル。

SMAP are;中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、森且行、草彅剛、香取慎吾

①雪が降ってきた
作詞:森浩美、作曲:馬飼野康二、編曲:長岡成貢、コーラスアレンジ:松下誠
きらびやかなシンセは80'sファンクの香り。全編民主的ユニゾンで贈る雪の失恋ソング。舞い落ちる雪を表現したようなサビの下降音階が美しい。間奏で駆け上がるソプラノサックスからの怒涛のエンディングはグループ初期ならではの勢いを感じる。ピアノをバックにメンバーがソロで歌いつなぐ『pamS』(ウラスマ)収録のバラードヴァージョンが存在する。

②100万の言葉 パナソニック ジャストワープロ「スララ」CMソング
作詞:森浩美、作曲:馬飼野康二、編曲:森村献
ラテン系パーカッションと哀愁のマイナーメロディ。少年隊やKinKi Kidsが歌ったらハマりそう。SMAPがダメかというとそんなこともないのだが。ワープロ「スララ」のタイアップで「スラスラスラスララ スラスラスラスララ 100万の言葉 贈るよ君に…」。商品名連呼のサビが哀しみを誘う。後アレンジチープすぎ。アルバム未収録曲。いつかSMAPレアトラック集に収録されるかな。

③④カラオケ

定価1000円、中古で100円。
まったく曲の内容とは関係のないバスケットボールジャケ。とてもバスケをやる気があるとは思えないヒラヒラの衣装はどうなんだ。


2013年の50thシングル。

1996年に森且行が脱退し、5人になったSMAPのマキシシングル。

①Joy!!
作詞・作曲:津野米咲、編曲:菅野よう子
赤い公園のリーダー、津野米咲(つのまいさ)書き下ろし。SMAPたいして詳しくないけど、最高傑作ではないのかな。菅野よう子の遊園地的ドリーミーなアレンジが最高だし、津野米咲が惜しげもなく繰り出すメロディはA-B-サビともスキなし。で、サビのメロディは21年前の「雪が降ってきた」に似ているのだ。米咲が意識的にやったオマージュなのか偶然なのかは分からないが、50枚目ともなるとこういう技もアリと思わせる4分足らずのマジック。大がかりなフラッシュモブ風PVも鳥肌ものの傑作。「無駄なことを 一緒にしようよ 忘れかけてた 魔法とは つまり Joy!! Joy!! あの頃の僕らを 思い出せ出せ 勿体ぶんな 今すぐ Joy!! Joy!!」現在のグループの置かれている状況を考えると、グッときすぎて歌えなくなってしまいそうな歌詞が辛い…

「さらにコンパクトに」~盤の対面~前編

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「さらにコンパクトに」シリーズ第4回。

今までの3回は説明文が8㎝四方にまとめられ、切り取られて失われることの多い運命だった。

今回から2回にわたって紹介するのは盤の対面にコンパクト化の説明が記載されたもの。表ジャケットの裏の場合と、裏ジャケの裏の場合がある(トレーがどっち側に糊付けされているかによる)ので、正確を期し「盤の対面」とした。

前編の5枚はすべて裏ジャケの裏パターンで、「さらにコンパクトに」のコピーはすべてについている。


1枚目「君の夢に飛びたい」中村由真 1988年 フォーライフ/ポニーキャニオン

2枚目「Still」飯島真理 1989年 アルファ・ムーン/ワーナー・パイオニア



この2枚、図に関してはまったく同じ絵を使用している。文章も同じだが、フォントや位置関係が異なる。

格子の向こう編の2枚目と絵は同じ、3枚目として紹介した4コマと内容は一緒。スペースが2倍に広がった分、3,4コマがふたつの図で構成されている。3のトレー折り切り前後はまだわかるとしても、4の図がふたつになる必然性がない。右図でただ手に持っただけだもの。

1「中央のミシン目より、下半分を切り取る。」2「歌詞部分を内側に2ツ折りする。」3「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」4「完成。」


3枚目「DANCE/CRY CRY」ODAKA CHIE 1988年 クラウン



格子の向こう編の2枚目と絵も文章も構図も同じ、上にアダプターの使用についての図解、下にはディスクの拭き方などの説明。


4枚目「BE MY BOY!」MEGU 1988年 CBS/Sony

5枚目「WEARHAM BOAT CLUB」REBECCA 1984年のデビューシングルを1989年に8㎝再発 CBS/Sony



ソニー盤2枚。「さらにコンパクトに」は上半分、下半分はアダプター説明。

左はプラトレー下半分が格子、右は歌詞カード収納ヴァージョン。後者の場合、収納場所を失った歌詞カードはコンパクトにしたジャケに挟み込むことが推奨されていた。

この2枚は格子の向こう編にはなかった絵。


①プラスチック・トレーを半分に折り切る。②図の様にジャケットを折る。③図の様に爪を切り込みに入れてとめる。


①プラスチック・トレーから歌詞カードをとり出す。②トレーの下半分を折りとる。③ジャケットに歌詞カードをはさみ折りたたむ。④爪を切り込みに入れてとめる。

ジャケはセミロングの女性像。どちらもセーラー服を着ているようだ。左は上半分のみの肩までの絵、右は短冊全面を使って腰まで描かれている。


後編につづく。

「さらにコンパクトに」~盤の対面~後編

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後編5枚。

6枚目「人間の顔」ヒカシュー 1988年 クラウン

7枚目「Be Free」森川美穂 1988年 VAP



ご覧のとおり、この2枚はほとんど一緒。クラウン盤では最下部に「取扱上のご注意」があるおかげで全体が詰まった構成になっている。縦長になって並びが変わっているが、格子の向こう編5枚目のVAP盤と同じ絵と文章。
この2枚は他と上下が逆になっている。こちらのほうがジャケを縦に持って開いたときに読みやすく自然な印刷方向だと思うが、今回集めた10枚では少数派だった。


8枚目「天使とYu-waku」川越美和 1989年 NECアベニュー

9枚目「あなたより素敵な人」吉沢秋絵 1988年 フォーライフ




NECアベニュー盤はいままでとまったく違うオリジナルの絵。「CDシングルは、下記のように、よりいっそうコンパクトになります。」さらに、ではなく「よりいっそう」と強めの表現が新しい。
①「表紙のミシン目から、下半分を切り取る。」②「歌詞部分を中央から、内側に2ツ折りする。」3「プラスティック・トレーを半分に折り切る。」④「完成」
文章も微妙に変えているが、オリジナリティを感じるほどではない。そりゃ同じことを説明してるから当たり前か。
ジャケットに女性像はなく、おそらく手作業でスクリーントーンを貼っている。

フォーライフは格子の向こう編で井上陽水の盤を紹介した。まったく同じものが格子の向こうではなく盤の対面の下半分に印刷されたパターン。プラスチック・トレーを貼る面が違うだけといえばそれだけの話。ネタ尽きた感あるね…


10枚目「BO GUMBOS」ボ・ガンボス 1989年 EPIC/SONY



最後はこの盤のみの完全オリジナル説明。「さらにコンパクトに楽しく」「ジャケットを下図のように組み立てて、お楽しみください。」
①プラスチック・トレーを半分に折り切る。②点線から切り離し、ギター型に。」③「ジャケットを折り、ギタースタンドにひっかける。」④図の様に爪を切り込みに入れてコンパクトに。」

ジャケはこんな。



ネックの左右に切り取り線があり、切り取ってしまうとタイトルもアーティスト名もバーコードも失われる。ギターヘッドにはコンパクト化に役立つ爪つき。

裏ジャケがギタースタンド。



最上部が浅い台形に切り取れるようになっていて、折り畳むとそこに表ジャケのギターがひっかけられる仕組み。



最後に前後編で紹介した10枚のジャケを。


「SINGIN' IN THE SNOW」 野田幹子 1989年

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野田幹子の5thシングル。

①Singin' In The Snow JAL '89 WELCOME TO EUROPE CAMPAIGN SONG
作詞・作曲:野田幹子、編曲:鈴木智文
口笛が印象的なイントロから、オールディーズテイストの牧歌的でシンプルなサビはじまり。導入の英語詞が薄いのは装飾みたいなもんだからいいのか。アレンジの肝は八木のぶおのハーモニカの音色。鐘は鳴らないけど、シャンシャンしたリズムがクリスマスのうきうきしたムードを盛り上げる。「連絡もしないで来たら あなたは怒るかしら」恋愛初期に浮かれた感じでクリスマスを迎えたカップル。彼の家に行ってみたら修羅場!みたいなTVドラマ的展開はなし。「今はこの恋に夢中よ」のフレーズからは、どっぷり夢中というよりは「今は」の刹那的かつ客観的な視点が感じられる。
ミュージシャンクレジットあり。AG: 鈴木智文、Ba: 沖山優司、Dr: 矢部浩志、Piano: 棚谷祐一、Key: 板倉茂隆、Harmonica: 八木のぶお、Whistle: Raglan James

②Moonlight Shadow ―黄昏のル・マン― ミノルタ OA CMソング
作詞:野田幹子、作曲:渚十吾、編曲:鈴木智文
アルバム『ハッピー・エンドが好き』のエンディングを飾った名曲。重く憂鬱なムードの曲調に、中期ビートルズテイストのブラスが絡む。野田幹子の抑えたヴォーカルがいい。アルバムラスト曲らしい長めのアウトロでの矢部さんのドラムが静かに熱いし、鈴木智文のスライドもドラマチック。
①との違いはストリングス&ブラスセクションが入っていることと、Synthesizer Operatorに木本靖夫、コーラスに濱田理恵、寺本りえ子、直枝政太郎がクレジットされていること。あと、こっちには棚谷さんがいない。

定価937円、中古で100円。
おそらく欧州ロケ(フランスかな?)によるジャケ。あまり飾らずシャープなイメージで。


矢部浩志、棚谷祐一、直枝政太郎の3人が参加したカーネーションファンとしては嬉しいシングル。直枝さんのコーラスは言われてもよく分からないレベルではあるが。1989年といえばまだ大田さん、鳥羽さんは加入前だった。


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