松本 隆 作詞活動45周年記念オフィシャル・プロジェクト 風街レジェンド2015
はっぴいえんどで始まり、はっぴえんどで終わる。松本隆の仕事がこれで終わるわけではないけど、「集大成」という単語がしっくりくる宴だった。
開演前に流されていたのはもちろん松本作品。「いばらの冠」、草野マサムネのほうの「水中メガネ」など。
舞台の前にかかった幕に『風街ろまん』のジャケが映し出される。幕が開き、「夏なんです」のイントロがはじまる。右手に細野さん、左手に茂さん、そして今日の主役が一段高いステージでドラムを叩いている!左奥では林立夫がひっそりサポートをしてる…
はっぴいえんどを最初に聴いたのは80年代前半、中学時代だった。ラジオの「日本のロック特集」で遠藤賢司やフラワー・トラベリン・バンドなどに混じって「春よ来い」が選ばれていた。そのときはインパクトはあったけどそれほどピンとこなかった。その後、高橋幸宏がラジオで「12月の雨の日」をかけたのを聴いて、衝撃を受けた。『ゆでめん』を先に買って、『風街ろまん』にたどり着くまでには高校に入っていたかもしれない。1985年の再結成までには3枚のLPを買っていたのは確か。もちろん、はっぴいえんどを目当てに国立競技場に行った。
1985年の再結成では3枚のアルバムから選ばれた4曲が演奏されたが、30年後の国際フォーラムでは準新曲「驟雨の街」を除き4曲すべて『風街ろまん』から。今回のタイトルに「風街」が冠されていることを考えれば当然か。佐野元春の「春よ来い」なんかも聴いてみたかったけど。3枚目については、まともな詞は「外はいい天気」だけ、との自己評価だしな。
間に挟まれた超豪華メンバーによる歌合戦は、ざっくり言って「はっぴいえんどの逆襲(=歌謡曲展開)」だった。いや、筒美京平やシューベルトもいたんだけど、大瀧・細野・鈴木作品が要所要所で現れるので、どうしたってそういう印象になる。
そうは言っても、中央階段から降りてくるアイドルたちには興奮しっぱなしだった。唯一のカラオケ演奏だったイモ欽のあと、山下久美子、早見優、安田成美と畳みかけられたら「思考回路はショート」状態さ。
ナイアガラコーナー。とくに風街ばんどのインストでは会場全体がここにいない人を思った。ああ、故人を偲ぶとはこういうことを言うのだなと感じた。井上鑑は最高の仕事をしていた。
斉藤由貴!何も言えねえ。1階15列目から双眼鏡でガン見しつつ、ちょっと涙ぐんでいたのは私だ。
先日の夫婦放談で、まりやさんがリハのとき「辛子入りのシャツ~」と歌っていると言ってた(余談)。
水谷豊、寺尾聡!もう自分が口開けて呆けてた気がする。
「驟雨の街」は細野晴臣名義で『風街であひませう』に収録されたが、事実上はっぴいえんどの新曲。70年代に作られたデモが発掘され、サビ以外をすべて松本隆が書き直し、細野、鈴木、松本の3人でレコーディングされた。
稲光り ストロボみたいに
闇に白い顔の静止画
夜空に光る糸
巻き取る観覧車
街は驟雨 通りは川
(「驟雨の街」について)
細野晴臣「おじいちゃんのはっぴえんど」だと思った。円環だよね。ぐるぐる回ってる。
松本隆 巨大な円を閉じて自分の人生が「はっぴいえんど」になる。
~BRUTUS 特集 松本隆(2015)
観覧車、幻灯機、巻尺と、回転・円環のイメージが繰り返し現れる。2015年のはっぴいえんどに相応しい、「12月の雨の日」「あしたてんきになあれ」「氷雨月のスケッチ」につづくレインソング。
「松本隆個人としてみたら、完成度としては“はっぴいえんどの松本隆”よりも“作詞家・松本隆”のほうが高いと思う。けれど、そこへ到達したのも“はっぴいえんど”の時に掴んだものを、より洗練していった結果だから。方々にちらばった“作詞家・松本隆”の断片を拾った人たちが、遡ってくれると“はっぴいえんど”に出会う。そういうものじゃないかな。」
~はっぴいえんどBOX(2004) 松本隆インタビュー(取材:堀込高樹)より
セットリスト
1.夏なんです(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
2.はないちもんめ(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
3.はいからはくち(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂・佐野元春
4.木綿のハンカチーフ/太田裕美
5.てぃーんずぶるーす/原田真二
6.タイムトラベル/原田真二
7.シンプルラブ/大橋純子
8.ペイパームーン/大橋純子
9.三枚の写真/石川ひとみ
10.東京ららばい(中原理恵)/中川翔子
11.セクシャルバイオレットNo.1(桑名正博)/美勇士
12.ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ
13.赤道小町ドキッ/山下久美子
14.誘惑光線・クラッ!/早見優
15.風の谷のナウシカ/安田成美
16.シューベルト「冬の旅」現代語訳「菩提樹」/歌:鈴木准、ピアノ:河野紘子
17.シューベルト「冬の旅」現代語訳「辻音楽師」/歌:鈴木准、ピアノ:河野紘子
18.君は天然色(大滝詠一)/伊藤銀次・杉真理
19.A面で恋をして(ナイアガラトライアングルVOL.2)/伊藤銀次・杉真理・佐野元春
20.バチェラー・ガール/稲垣潤一
21.恋するカレン(大滝詠一)/稲垣潤一
22.スローなブギにしてくれ/南佳孝
23.ソバカスのある少女/南佳孝・鈴木茂
24.砂の女/鈴木茂
25.しらけちまうぜ/小坂忠
26.流星都市/小坂忠
27.Woman〜Wの悲劇〜(薬師丸ひろ子)/吉田美奈子
28.ガラスの林檎(松田聖子)/吉田美奈子
29.スピーチバルーン(大滝詠一)/風街ばんど
30.カナリア諸島にて(大滝詠一)/風街ばんど
31.綺麗ア・ラ・モード/中川翔子
32.卒業/斉藤由貴
33.September(竹内まりや)/EPO
34.さらばシベリア鉄道/太田裕美
35.やさしさ紙芝居/水谷豊
36.ルビーの指環/寺尾聦
37.驟雨の街/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
38.風をあつめて(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂&ALL STARS
花束贈呈:松任谷由実
はっぴいえんどで始まり、はっぴえんどで終わる。松本隆の仕事がこれで終わるわけではないけど、「集大成」という単語がしっくりくる宴だった。
開演前に流されていたのはもちろん松本作品。「いばらの冠」、草野マサムネのほうの「水中メガネ」など。
舞台の前にかかった幕に『風街ろまん』のジャケが映し出される。幕が開き、「夏なんです」のイントロがはじまる。右手に細野さん、左手に茂さん、そして今日の主役が一段高いステージでドラムを叩いている!左奥では林立夫がひっそりサポートをしてる…
はっぴいえんどを最初に聴いたのは80年代前半、中学時代だった。ラジオの「日本のロック特集」で遠藤賢司やフラワー・トラベリン・バンドなどに混じって「春よ来い」が選ばれていた。そのときはインパクトはあったけどそれほどピンとこなかった。その後、高橋幸宏がラジオで「12月の雨の日」をかけたのを聴いて、衝撃を受けた。『ゆでめん』を先に買って、『風街ろまん』にたどり着くまでには高校に入っていたかもしれない。1985年の再結成までには3枚のLPを買っていたのは確か。もちろん、はっぴいえんどを目当てに国立競技場に行った。
1985年の再結成では3枚のアルバムから選ばれた4曲が演奏されたが、30年後の国際フォーラムでは準新曲「驟雨の街」を除き4曲すべて『風街ろまん』から。今回のタイトルに「風街」が冠されていることを考えれば当然か。佐野元春の「春よ来い」なんかも聴いてみたかったけど。3枚目については、まともな詞は「外はいい天気」だけ、との自己評価だしな。
間に挟まれた超豪華メンバーによる歌合戦は、ざっくり言って「はっぴいえんどの逆襲(=歌謡曲展開)」だった。いや、筒美京平やシューベルトもいたんだけど、大瀧・細野・鈴木作品が要所要所で現れるので、どうしたってそういう印象になる。
そうは言っても、中央階段から降りてくるアイドルたちには興奮しっぱなしだった。唯一のカラオケ演奏だったイモ欽のあと、山下久美子、早見優、安田成美と畳みかけられたら「思考回路はショート」状態さ。
ナイアガラコーナー。とくに風街ばんどのインストでは会場全体がここにいない人を思った。ああ、故人を偲ぶとはこういうことを言うのだなと感じた。井上鑑は最高の仕事をしていた。
斉藤由貴!何も言えねえ。1階15列目から双眼鏡でガン見しつつ、ちょっと涙ぐんでいたのは私だ。
先日の夫婦放談で、まりやさんがリハのとき「辛子入りのシャツ~」と歌っていると言ってた(余談)。
水谷豊、寺尾聡!もう自分が口開けて呆けてた気がする。
「驟雨の街」は細野晴臣名義で『風街であひませう』に収録されたが、事実上はっぴいえんどの新曲。70年代に作られたデモが発掘され、サビ以外をすべて松本隆が書き直し、細野、鈴木、松本の3人でレコーディングされた。
稲光り ストロボみたいに
闇に白い顔の静止画
夜空に光る糸
巻き取る観覧車
街は驟雨 通りは川
(「驟雨の街」について)
細野晴臣「おじいちゃんのはっぴえんど」だと思った。円環だよね。ぐるぐる回ってる。
松本隆 巨大な円を閉じて自分の人生が「はっぴいえんど」になる。
~BRUTUS 特集 松本隆(2015)
観覧車、幻灯機、巻尺と、回転・円環のイメージが繰り返し現れる。2015年のはっぴいえんどに相応しい、「12月の雨の日」「あしたてんきになあれ」「氷雨月のスケッチ」につづくレインソング。
「松本隆個人としてみたら、完成度としては“はっぴいえんどの松本隆”よりも“作詞家・松本隆”のほうが高いと思う。けれど、そこへ到達したのも“はっぴいえんど”の時に掴んだものを、より洗練していった結果だから。方々にちらばった“作詞家・松本隆”の断片を拾った人たちが、遡ってくれると“はっぴいえんど”に出会う。そういうものじゃないかな。」
~はっぴいえんどBOX(2004) 松本隆インタビュー(取材:堀込高樹)より
セットリスト
1.夏なんです(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
2.はないちもんめ(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
3.はいからはくち(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂・佐野元春
4.木綿のハンカチーフ/太田裕美
5.てぃーんずぶるーす/原田真二
6.タイムトラベル/原田真二
7.シンプルラブ/大橋純子
8.ペイパームーン/大橋純子
9.三枚の写真/石川ひとみ
10.東京ららばい(中原理恵)/中川翔子
11.セクシャルバイオレットNo.1(桑名正博)/美勇士
12.ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ
13.赤道小町ドキッ/山下久美子
14.誘惑光線・クラッ!/早見優
15.風の谷のナウシカ/安田成美
16.シューベルト「冬の旅」現代語訳「菩提樹」/歌:鈴木准、ピアノ:河野紘子
17.シューベルト「冬の旅」現代語訳「辻音楽師」/歌:鈴木准、ピアノ:河野紘子
18.君は天然色(大滝詠一)/伊藤銀次・杉真理
19.A面で恋をして(ナイアガラトライアングルVOL.2)/伊藤銀次・杉真理・佐野元春
20.バチェラー・ガール/稲垣潤一
21.恋するカレン(大滝詠一)/稲垣潤一
22.スローなブギにしてくれ/南佳孝
23.ソバカスのある少女/南佳孝・鈴木茂
24.砂の女/鈴木茂
25.しらけちまうぜ/小坂忠
26.流星都市/小坂忠
27.Woman〜Wの悲劇〜(薬師丸ひろ子)/吉田美奈子
28.ガラスの林檎(松田聖子)/吉田美奈子
29.スピーチバルーン(大滝詠一)/風街ばんど
30.カナリア諸島にて(大滝詠一)/風街ばんど
31.綺麗ア・ラ・モード/中川翔子
32.卒業/斉藤由貴
33.September(竹内まりや)/EPO
34.さらばシベリア鉄道/太田裕美
35.やさしさ紙芝居/水谷豊
36.ルビーの指環/寺尾聦
37.驟雨の街/松本隆・細野晴臣・鈴木茂
38.風をあつめて(はっぴいえんど)/松本隆・細野晴臣・鈴木茂&ALL STARS
花束贈呈:松任谷由実