祝、配信。
もとは「放課後レズビアン しのぶのぺニバン日記」(2002)の主題歌として制作された楽曲。監督のRyoこと犬神涼が作詞・作曲を手掛けた。AVに主題歌って!?
その2年後、笠木忍さんの引退記念『笠木忍 メモリアルBOX』(2004)の初回特典8?CDシングルとして音盤に刻まれた。この記事タイトルはこちらのリリース年を採用。
私がこの曲の存在を知ったのは、今から3年前、ドラム猫さんのこの記事で。この時点では曲は聴けなかったが、ドラム猫さんの文章で「これは間違いなく私好み!」と確信した。
今年1月に動画サイトにアップされたのを聴いて、(信じてはいたけど)ドラム猫さんの正しさを思い知らされる。今は削除されたようだが、セーラー服姿で歌うライブ動画もあった。このまま一部のマニアの間でのみ語り継がれるカルト名曲として伝説化していくんだろうな、と思ってた。
作者の犬神涼のツイッター履歴を見ると、2月に「『ハートがまっぷたつ』が大ブレイク中」とのリツイートあり。掟ポルシェ氏からの「歌録りはどのくらいかかったのか?」の質問に対する犬神氏の答え。
「歌は一日で録ってしまった記憶があります。あまり細かく直さなかったと思います。後にライブで歌ってもらっときもそのままだったなあ。笠木さんは上手い下手を超越した何かがあります。ご機嫌にダウン。無口でハイテンションです。」(2011.2.14 犬神涼@godcooldog)
そうこうしているうちに、2004年の引退後はOL生活をされていたらしい忍さんがAV界に電撃復帰!
この復活劇からいろいろ動き出す。
まずは犬神涼が酔った勢いで弾き語った「ハートがまっぷたつ(セルフカヴァー)」をアップ。
「風の噂で笠木忍さんが復活すると聞いて、一杯やっているうちに興が乗って歌ってみた。酔いが醒めたら恥ずかしくて消す・・・かも。俺も復活だ!!!」(2011.6.17 YouTubeコメント)
翌日、笠木忍が「しのぶろぐ」をスタートさせる。3.11から何かが変わってしまったという忍さん。
「普通の仕事をして、普通の生活をして、私はまあまあ幸せに生活していた。でも、それじゃいられないです。」(2011.6.18 笠木忍@しのぶろぐ)
ビクターエンタテインメントがこの盛り上がりに目をつけ、まさかの配信リリースが決定!このニュースはやっぱりドラム猫さんのTwitter(アカウントが「@Kasagi_Shinobu」だもの)で知る。そのあたりの興奮はまとめでどうぞ。
そして11月。音楽ニュースサイトナタリー(「森田童子を思わせる」「チープな宅録サウンド」などの表現はドラム猫さんの記事からのパクリ?)でもとりあげられ、ますます期待が高まる中、ご本人の発言。
「報告が遅れましたが、今日から、ビクターより、私が歌っている曲が配信されています へたっぴだけど、心を込めてうたっていますので、皆さま聴いてみてください」(2011.11.9 笠木忍@しのぶろぐ)
長くなった。曲の話を。
?ハートがまっぷたつ
作詞・作曲:犬神涼
配信決定とともにVictor Music Channelで動画が公開されているので、聴けば分かる!で終わりでもいいんだけど一応書く。内省的でダークな展開がスリリングな名曲。覇気レスな地声歌いがメロディを危うい足取りで追いかける。全編ダブル・ヴォーカル。それぞれ二度と歌えないテイクがふたつ重ねられ、ゆらぎ感がハンパない。何度も聴くうち、この声、この歌唱でなければ完成しない楽曲であることが分かってくる。薄いアレンジで、忍さんのヴォーカルを立てている思い切りも見事。歌詞がまた良くて、聖と俗、生と死、夢見る乙女とそれを客観視するもうひとりの自分、といった二項対立の狭間で揺れ動く女心が描かれている。全体の印象としてポーティスヘッド「グローリー・ボックス」の焦燥感、マッシヴ・アタック「プロテクション」のクールな浮遊感を連想させる。ブリストル・サウンドへの日本からの回答…かもしれない。
?三月
作詞・作曲:犬神涼
こちらもド名曲!?がダウナーなら、こちらは抒情性+高揚感にあふれた感動巨編。早口&字余り気味のAメロで、完全に乗り遅れる忍さんの「焦りのないバタバタ具合」が素晴らしい!「忘れて 忘れて 忘れさせないで 忘れないで 忘れないから 忘れられないから」のリフレインが耳に残る。今までのキャリアからの卒業、そして新たな世界への期待が綴られた、完全に忍さんへの当て書きといえる内容なのだ。きれいに決まった引退ソングとしては、Cocco「焼け野が原」(2001)と双璧。そのあとCoccoも忍さんも復帰したけど。
2曲ともDVDの特典映像としてミュージッククリップが収録されている。ふたつとも忍さんのテンションの低いレコーディング風景を中心に構成されている。
定価不明(ボックスに記載なし)、中古で4840円(送料込)。
さて、私はしばらく前からAmazonのカートに『笠木忍 メモリアルBOX』を保存していた。どこかで安く落ちてないかな〜と心のどこかでいつも探していた。メジャーからの配信決定を聞いて、もしかするとライバルが増えるかも?と焦りAmazon中古価格4500円でポチ。安くはなかったが、この名曲を8?で聴ける幸せには代えられない。おまけとしてDVDが2枚付いていたからよしとするか。
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家族に見つからないように封筒を開けてみたら、8?はなんと未開封だった(DVDはもちろん開封済)。前の持ち主はこれほどの名作8?に興味がなかったとみえる。いや、曲自体はDVDでも聴けるし、もしかすると未開封のが多数派かもしれんな。
「しのぶろぐ」の最近の記事をみると、忍さんはイベントで歌ったりしているらしい。当然持ち歌を歌うのだろう。生歌、聴いてみたい気がするけど、そんな大人イベントに行っていいものやら迷う…
「その頃だって私の周りにはもっと歌が上手くて歌う気も満々の女性は沢山いた。でも歌って欲しいと思ったのは笠木忍さんだけだったのです。」
(2011.11.19 犬神涼@godcooldog)
もとは「放課後レズビアン しのぶのぺニバン日記」(2002)の主題歌として制作された楽曲。監督のRyoこと犬神涼が作詞・作曲を手掛けた。AVに主題歌って!?
その2年後、笠木忍さんの引退記念『笠木忍 メモリアルBOX』(2004)の初回特典8?CDシングルとして音盤に刻まれた。この記事タイトルはこちらのリリース年を採用。
私がこの曲の存在を知ったのは、今から3年前、ドラム猫さんのこの記事で。この時点では曲は聴けなかったが、ドラム猫さんの文章で「これは間違いなく私好み!」と確信した。
今年1月に動画サイトにアップされたのを聴いて、(信じてはいたけど)ドラム猫さんの正しさを思い知らされる。今は削除されたようだが、セーラー服姿で歌うライブ動画もあった。このまま一部のマニアの間でのみ語り継がれるカルト名曲として伝説化していくんだろうな、と思ってた。
作者の犬神涼のツイッター履歴を見ると、2月に「『ハートがまっぷたつ』が大ブレイク中」とのリツイートあり。掟ポルシェ氏からの「歌録りはどのくらいかかったのか?」の質問に対する犬神氏の答え。
「歌は一日で録ってしまった記憶があります。あまり細かく直さなかったと思います。後にライブで歌ってもらっときもそのままだったなあ。笠木さんは上手い下手を超越した何かがあります。ご機嫌にダウン。無口でハイテンションです。」(2011.2.14 犬神涼@godcooldog)
そうこうしているうちに、2004年の引退後はOL生活をされていたらしい忍さんがAV界に電撃復帰!
この復活劇からいろいろ動き出す。
まずは犬神涼が酔った勢いで弾き語った「ハートがまっぷたつ(セルフカヴァー)」をアップ。
「風の噂で笠木忍さんが復活すると聞いて、一杯やっているうちに興が乗って歌ってみた。酔いが醒めたら恥ずかしくて消す・・・かも。俺も復活だ!!!」(2011.6.17 YouTubeコメント)
翌日、笠木忍が「しのぶろぐ」をスタートさせる。3.11から何かが変わってしまったという忍さん。
「普通の仕事をして、普通の生活をして、私はまあまあ幸せに生活していた。でも、それじゃいられないです。」(2011.6.18 笠木忍@しのぶろぐ)
ビクターエンタテインメントがこの盛り上がりに目をつけ、まさかの配信リリースが決定!このニュースはやっぱりドラム猫さんのTwitter(アカウントが「@Kasagi_Shinobu」だもの)で知る。そのあたりの興奮はまとめでどうぞ。
そして11月。音楽ニュースサイトナタリー(「森田童子を思わせる」「チープな宅録サウンド」などの表現はドラム猫さんの記事からのパクリ?)でもとりあげられ、ますます期待が高まる中、ご本人の発言。
「報告が遅れましたが、今日から、ビクターより、私が歌っている曲が配信されています へたっぴだけど、心を込めてうたっていますので、皆さま聴いてみてください」(2011.11.9 笠木忍@しのぶろぐ)
長くなった。曲の話を。
?ハートがまっぷたつ
作詞・作曲:犬神涼
配信決定とともにVictor Music Channelで動画が公開されているので、聴けば分かる!で終わりでもいいんだけど一応書く。内省的でダークな展開がスリリングな名曲。覇気レスな地声歌いがメロディを危うい足取りで追いかける。全編ダブル・ヴォーカル。それぞれ二度と歌えないテイクがふたつ重ねられ、ゆらぎ感がハンパない。何度も聴くうち、この声、この歌唱でなければ完成しない楽曲であることが分かってくる。薄いアレンジで、忍さんのヴォーカルを立てている思い切りも見事。歌詞がまた良くて、聖と俗、生と死、夢見る乙女とそれを客観視するもうひとりの自分、といった二項対立の狭間で揺れ動く女心が描かれている。全体の印象としてポーティスヘッド「グローリー・ボックス」の焦燥感、マッシヴ・アタック「プロテクション」のクールな浮遊感を連想させる。ブリストル・サウンドへの日本からの回答…かもしれない。
?三月
作詞・作曲:犬神涼
こちらもド名曲!?がダウナーなら、こちらは抒情性+高揚感にあふれた感動巨編。早口&字余り気味のAメロで、完全に乗り遅れる忍さんの「焦りのないバタバタ具合」が素晴らしい!「忘れて 忘れて 忘れさせないで 忘れないで 忘れないから 忘れられないから」のリフレインが耳に残る。今までのキャリアからの卒業、そして新たな世界への期待が綴られた、完全に忍さんへの当て書きといえる内容なのだ。きれいに決まった引退ソングとしては、Cocco「焼け野が原」(2001)と双璧。そのあとCoccoも忍さんも復帰したけど。
2曲ともDVDの特典映像としてミュージッククリップが収録されている。ふたつとも忍さんのテンションの低いレコーディング風景を中心に構成されている。
定価不明(ボックスに記載なし)、中古で4840円(送料込)。
さて、私はしばらく前からAmazonのカートに『笠木忍 メモリアルBOX』を保存していた。どこかで安く落ちてないかな〜と心のどこかでいつも探していた。メジャーからの配信決定を聞いて、もしかするとライバルが増えるかも?と焦りAmazon中古価格4500円でポチ。安くはなかったが、この名曲を8?で聴ける幸せには代えられない。おまけとしてDVDが2枚付いていたからよしとするか。

家族に見つからないように封筒を開けてみたら、8?はなんと未開封だった(DVDはもちろん開封済)。前の持ち主はこれほどの名作8?に興味がなかったとみえる。いや、曲自体はDVDでも聴けるし、もしかすると未開封のが多数派かもしれんな。
「しのぶろぐ」の最近の記事をみると、忍さんはイベントで歌ったりしているらしい。当然持ち歌を歌うのだろう。生歌、聴いてみたい気がするけど、そんな大人イベントに行っていいものやら迷う…
「その頃だって私の周りにはもっと歌が上手くて歌う気も満々の女性は沢山いた。でも歌って欲しいと思ったのは笠木忍さんだけだったのです。」
(2011.11.19 犬神涼@godcooldog)